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在タイ日本国大使館

Embassy of Japan in Thailand

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日タイ関係

佐渡島大使の政策目標【拡大版】(5つの柱、10の目標)

2016年11月

 

柱1. 分野横断的な政策目標

(目標1)産業の高付加価値化への協力

タイは経済発展を遂げ、1人当たりGDPが6,000ドル程度となっている一方で、失業率が1%未満であることに加え、近い将来、少子化による労働力人口の減少が見込まれる。このまま低付加価値の労働集約産業に頼った成長を続けた場合、いわゆる「中所得国の罠」に陥るおそれがある。タイがさらなる経済的飛躍を遂げるためには、産業の高付加価値化が不可欠であり、そのために日本はタイへ様々な貢献ができると考える。具体的には、二回にわたる「イノベーション・ワークショップ」を踏まえた政策提言や、農業及び食品産業分野における協力の深化を通じ、タイにおける産業の高付加価値化に貢献していくとともに、日系企業による付加価値の高い進出を支援していきたい。

 

(目標2)人材育成・研究開発への協力

高付加価値産業の育成に当たっては、人材育成、研究開発への投資が不可欠である。最近では、日系企業が新たな研究開発拠点をタイへ設置する事例も出てきている。二回にわたる「人材育成円卓会議」の開催や「日タイ人材育成協力イニシアティブ」の策定を通じた産学官連携により、我々としてもこうした動きを後押ししていきたい。長年実績のある泰日工業大学への後押しも継続し、また、技能検定・職業資格評価制度における協力等により、エンジニア人材の質的・量的拡大に資する職業訓練や技能開発を支援したい。

また、近年、日本の多くの大学や研究機関がタイに拠点を設置しており、研究・教育における日タイ間の協力の事例も増えている。科学技術外交ネットワークを通じてこうした動きを支援していきたい。さらに、日本語学習者・日本語能力検定試験受験者・日本留学生の増大を図り、新たな親日層育成や日系企業への就業につなげていきたい。

 

(目標3)ビジネス環境の改善

日タイ経済関係は非常に緊密であり、相互補完的である。タイにとって日本は最大の直接投資国であり、在タイ日系企業は約5000社と言われ、盤谷日本人商工会議所の会員企業数も1、730社を超え、タイは東南アジア最大の日系企業の拠点となっている。日本は、タイ経済のさらなる発展のために重要な役割を担っていると自負している。

かかる中、タイが今後も魅力的な投資先であり続けるには、関税手続に係る透明性確保、税務を巡る一貫性の確保や外資規制の改善を含むビジネス環境の整備が不可欠であることをタイ政府に伝えていきたい。地域統括会社の設置や周辺国との通関業務の改善を始め、タイがASEANのビジネスハブとなる取組も後押していきたい。日系企業に開かれた大使館として引き続き幅広い支援を行っていくとともに、タイ政府と日系企業界の橋渡し役を務めたい。

 

柱2. 個別分野における政策目標

(目標4)質の高いインフラ整備と連結性の向上への協力

ASEAN統合の果実を地域全体に広げるためには、道路、橋、鉄道、情報通信ネットワークで域内をつなぎ、モノ・ヒト・情報の流通を活発化させ、経済回廊の周辺地域を開発することが必要である。タイがAEC、特にメコン地域で中心的地位を確立し、地域間での分業をより効果的なものとするためには、タイ国内に加え、周辺地域との「連結性」向上のための質の高いインフラ整備が求められている。

この点、利用者のニーズを踏まえた、信頼性・安全性・環境性の高いインフラの整備、運用は日本の得意とするところであり、日本の技術を活用頂きたい。ライフサイクルコストを踏まえれば、日本の技術は長期的に見れば安あがりである。具体的には、都市鉄道・長距離鉄道の整備、ダウェー開発、地球観測衛星、地理空間情報の利活用や情報通信技術(ICT)に関するインフラ協力案件を最大限後押しし、また、「日・メコン連結性イニシアティブ」を通じ物理的・制度的・人的連結性にも貢献していきたい。防災の観点も含め、効果的・効率的な洪水対策や利水施設の整備・更新を含む渇水対策に協力していきたい。

 

(目標5)エネルギー・環境を軸とした持続可能な開発への協力

タイでは、エネルギー需要が増大する一方、今後、国内の天然ガス生産がピークアウトする等の変化が予想される。持続可能な開発の観点からは、エネルギー源の多様化と省エネルギー推進を通じた供給の確保と、エネルギー消費の増加に伴うCO2対策が課題となっている。廃棄物の増加や不適正処理等による環境汚染や健康被害の問題にも直面している。

かかる中、既存の日タイ政府間「エネルギー政策対話」と連携して、需要側企業も交えた官民「対話の場」を創設したい。CO2対策については、二国間クレジット制度 (JCM)に基づく具体的プロジェクトの形成を推進したい。エネルギーを効率的に利用する社会を目指して、環境に配慮した鉄道の駅前の開発や、スマートシティにかかる支援を実施したい。日本が有する知見の共有や廃棄物処理に関するガイドラインの作成を通じて、廃棄物分野の協力を強化していきたい。

 

(目標6)サービス産業の高度化支援

タイにおけるサービス産業のGDP水準や労働人口に占める割合はまだ低い。タイ経済の高付加価値化のためには、この産業の拡大やその高度化が望まれる。また、いくつかのサービス業は産業全般の経済活動に不可欠である。

かかる中、経済全般を支える金融、運輸、郵便、ICTや、新しい社会ニーズに対応するコンテンツ、ヘルスケアの各分野について、タイ当局との協議等を通じてその高度化に貢献したい。

 

(目標7)中小企業・スタートアップ企業への協力

中小企業は多様な分野において創造的な事業活動を行い、個人がその能力を発揮しつつ事業を行う機会を提供することにより経済の基盤を形成している上、とくに当地においてはサプライチェーンの要である。中小企業のニーズを今まで以上に聴取し、金融面等で更なる支援強化について検討したい。 また、タイ政府は「イノベーション」こそがタイの産業高度化をもたらす鍵と考え、その牽引役であるスタートアップ企業を振興している。かかる中、新産業分野において新興国との連携を強化する努力の一環として、Embassy Pitchの開催を通じて、タイ政府と協力しながら、日タイ両国の大企業とスタートアップ企業の連携を促進したい。

 

柱3.(目標8)高齢化、安全・安心への協力

タイは2005年に「高齢化社会」を迎えて以降、急速に進みつつある高齢化への取組を必要としている。また、タイにおいて、健康の維持、労働環境の改善、交通安全・渋滞解消の他、高齢化に伴う介護や高齢者・障害者の雇用等も人々の安全・安心に関わる課題である。

かかる中、専門家の派遣やセミナーを通じた知見・経験の共有や、生命や尊厳に対する脅威から保護し能力を強化するとの考え方に基づく草の根・人間の安全保障無償資金協力を通じた支援を進めていきたい。

 

柱4.(目標9)日タイ修好130周年

2017年、日本とタイは外交関係樹立130周年を迎える。プミポン国王崩御を受け、タイ国民が服喪の状況にあることに配慮しつつ、この記念の年に、文化・教育行事の質的・量的拡充を図るとともに、首都圏のみならず、地方でも各種事業の更なる展開を図りたい。2020年東京オリンピック・パラリンピックを念頭に置き、スポーツ関係事業への支援を強化したい。青少年交流、観光、自治体による交流を支援し、2017年を国民レベルの相互理解と良好な関係を深める契機としたい。

 

柱5.(目標10)東部臨海工業地帯における領事業務体制の強化

東部臨海工業地帯では、工業団地への日系企業進出が増加しており、在留邦人数はこの10年で約3倍と急増している。チョンブリ・ラヨーン日本人会が設立され、シラチャ日本人学校も開校している。

かかる中、周辺の地域における在留邦人の利便性を高め、日系企業の進出やビジネス環境の改善を支えていくため、チョンブリ県に総領事館等を設置することを検討したい。

 

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以上のような取り組みについて、大使館は「チーム佐渡島」として全力で取り組んでいく所存である。タイと日本が、真のWin-Win関係を今後一層深めていけることを心から信じている。