戸籍・国籍に関するQ&A(出生・婚姻・国籍取得・認知・離婚・死亡)

-目次-


(問1)日本人夫婦です。子どもがタイで来月生まれる予定です。どのような手続きが必要ですか?

→(答)外国に居住している日本人の方は、日本国内に居住している場合と同様に、身分関係(出生・婚姻・養子縁組等)に変動が生じた場合は、戸籍法に基づく各種の届出義務が課せられています(同法40条・41条、民法741条等)。

したがって、あなた様ご夫婦の場合、出生届のご提出が必要となります。必要書類は次の通りです。

【出生届必要書類】

  1. 出生届  2通 (当館窓口に備え付けてあります)
    出生届の記入見本
  2. 病院医師発行の出生証明書(英文原本)またはタイ国出生登録証(原本)1通
  3. 同和訳文(要翻訳者明記)  1通
    • タイ国出生登録証の和訳書式 EXCEL PDF
    • タイ国出生登録証の和訳書式記入見本 EXCEL PDF

届出は、必ず出生後3ヶ月以内におこなってください(戸籍法49条1項)。届出は当館または、日本の本籍地の市区町村役場いずれかにしてください。

なお、当館に届出される場合、外務省経由で各本籍地役場に送付される関係上、新戸籍が編成されるまで、おおむね1ヶ月半ほどかかります。


(問2)妻(夫)がタイ人です。出生届の手続きは日本人夫婦の場合と同様ですか?

→(答)配偶者がタイ人の方の場合、タイ国国籍法(1992年改正法7条等)の規定により、お子さんは出生と同時に、日本国籍と共にタイ国籍も取得することになります。

このように、出生によって重国籍になる子が外国で生まれた場合は、生まれてから「3ヶ月以内に」日本国籍を留保する意思を表示した出生の届出をしないと、その子は出生の時にさかのぼって日本の国籍を失ってしまいます(国籍法12条)。

したがって、この法定期限を日本人夫婦の場合以上に厳守する必要があります。3ヶ月を過ぎてしまうと、日本国籍を有しない子の届出ということになり、受理することはできなくなりますので、十分にご注意願います。

必要書類は日本人夫婦の場合と同様ですが、出生の事実証明は、病院発行のものでなく、タイ国籍取得を明らかにすることができる「タイ国出生登録証」をご提出ください。

当館に届出される場合、写しを当館でとり、原本はその場でお返しいたしますが、日本の役場に直接届出される場合、役場によっては原本の返却に応じてくれないところもあります。よって、かかる事態を想定して、当館以外に届出される方は、「タイ国出生登録証」について、その写しをあらかじめタイ国外務省で英訳認証してもらったもの(原本証明と同一)を、ご準備されることをお勧めいたします。


(問3)出生届を出すのに戸籍謄本は必要ですか・・・・

→(答)戸籍謄本のご提出は、基本的に必要ありません。

但し、届出書には正確な本籍地の地番その他(外国人配偶者氏名のカタカナ表記や国籍等)の記入が必須ですので、戸籍謄(抄)本の添付があると事務処理上非常に参考になります。

したがって、出生届を当館にご提出される方は、可能な限り、(問1)の必要書類に加え、写しでも結構ですから、ご添付くださいますようご理解のほどお願い申し上げます。


(問4)出生届の提出と同時に生まれた子どものパスポート(旅券)申請をしたいのですが・・・

→(答)まず、旅券の申請に際しては、申請者ご本人(お子さん自身)の戸籍謄本(又は抄本)のご提出となります。

お届けいただいた出生届を基に、本籍地役場が子としての入籍手続をしてはじめて、お子さんはあなたの戸籍に子として名が記載されます。そして、戸籍に記載されてはじめて、日本国籍者であることが公証され、日本国旅券の申請が可能となります。

従いまして、出生届の提出と同時に旅券の申請をすることは認められません。

(問1)で触れましたように、当館経由で出生届をご提出いただくと、新戸籍ができあがる(お子さんの名が戸籍に記載される)まで、おおむね1ヶ月半ほど要してしまいます。そこで、お子さんのパスポートをできるだけ早く作りたい方は、日本の本籍地の市区町村役場に直接、郵送等でご提出いただくことをお勧めいたします(この場合、市区町村役場によりますが、数日から遅くとも一週間以内には戸籍に子として名が登載されるようです)。

なお、急遽帰国しなければならなくなったなど、緊急やむを得ない理由がある場合、出生証明書等により、日本国籍者としての出生の事実が確認できれば、旅券に代わる「帰国のための渡航書」を発行することができます。


(問5)妻(夫)がタイ人です。子どもが生まれてから3ヶ月以内に出生届を提出すべきところ、うっかり、それを忘れてしまい、タイ国籍しかありません。今から子どもに日本国籍を取らせるためにはどうしたらいいでしょうか?

→(答)(問2)でご説明したように、外国で生まれ、出生によって日本国籍のほかに外国の国籍をも取得した子は、出生の時から「3ヶ月以内」に日本国籍を留保する意思を表示した出生届を出さないと、その子は出生の時にさかのぼって日本の国籍を失ってしまいます(国籍法12条、戸籍法49条)。したがって、法定期間経過後の出生届は、日本国籍を有しない子の届け出ということになり、受理できないことになります。

もっとも、天災その他届出人の責めに帰することができない事由があって届出できなかった場合、その事由が解消してから14日以内に届出があれば、これを受理することができるとしています(戸籍法104条3項)。しかし、当該事由は極めて限定的に解されており、単に「そのような法律や規定のあることを知らなかった」(法令不知)や、「仕事が多忙であった」(業務多忙)というような事情は、この事由に該当する事情としては考慮されません。

以上から、あなたの場合も、単に「うっかり、それを忘れてしまいました・・・」という事情があるに過ぎないことから、届出人の責めに帰すことができない事由に該当する事情としては考慮することはできず、出生届を事後的に受理することは残念ながらできません。

お子さんに、日本国籍を事後的に取得させる方法は、現状では国籍再取得の方法しか残されていません。すなわち、本規定により、日本国籍を失った20歳未満の人は、日本に住所がある場合、国籍再取得の届出をすることができます(国籍法17条1項)。ここで、重要なのは、その子が一時的な親族訪問や留学等ではなく、日本に生活の基盤たる住所を有することが要件となっていることです。

つまり、タイにいながらにしては、国籍再取得の手続を進めることは事実上できないことを意味します。

国籍再取得の届出及び手続きの詳細については、日本の法務局又は地方法務局にご相談ください。


(問6)タイ人と結婚し、子どもは日本で生まれました。私たちのような夫婦の場合、子どもは二重国籍になると聞きましたが、子どもには日本国籍しかありません。将来はタイに住むかもしれませんので、今からタイ国籍をとらせて二重国籍にすることはできるでしょうか?

→(答)このご質問はタイ国の国籍取得に関わるご相談ですので、当館としては責任あるご回答をする権限は本来ございませんが、日頃、次のようにご案内しておりますので、参考になさってください。

  1. 在京タイ王国大使館(又は総領事館)が発行した「タイ国出生登録証(スティバット)」がある場合
     本登録証を管轄のタイ国郡役場に提示し、タイ国住居登録証(タビアンバーン)にタイ国籍者として記録してもらう。
  2. 「タイ国出生登録証」がない場合
     タイ国政府に対して、日本で出生した事実を客観的に証明するため、同事実の記載のある日本人父(又は母)の「戸籍謄・抄本」を、当館に提示し、英文の「出生証明書 (Birth Certificate) 」の申請をする。 当館が発行した証明書をタイ語に訳した上で、タイ国外務省で認証後、管轄のタイ国郡役場に提示し、タイ国住居登録証にタイ国籍者として記録してもらう。
  3.  なお、1. 2.いずれの場合でも、日本国旅券を使って日本国籍者としてタイに入国した場合、タイ入国管理局での「タイ国籍者としての検証」を求められることがあります。詳細については、タイ入国管理局(0-2287-3101)にお問い合わせください。


(問7)タイ人と結婚を考えているのですが、どうすればいいのでしょうか?

→(答)いわゆる国際結婚となりますので、日本とタイとの両国での手続きが必要です。

どちらの国で先に手続きをとるかによって、用意すべき書類や手続きの内容に大きな違いがあります。

詳しいことは、「日本人とタイ人の婚姻手続概要」ご参照ください。


(問8)それでは、結婚手続きは日本とタイ、どちらを先にするのが得策でしょうか?

→(答)それは、一概に一言でこうだとは断定できません。あくまで手続きをとられる方の状況次第といえます。下記をご参照頂き、ご自身で決定してください。

a. 日本で先に手続きをとる場合

-利点-

  1. 手続きのため、日本人・タイ人ともに母国を離れる必要がない(タイ人配偶者が結婚の手続きのために、わざわざ来日する必要がないという意味です)。
  2. タイで先に手続きをとる場合に比較し、用意すべき書類が少ない。
  3. 戸籍への入籍の事実記載が早い。

-欠点-

婚姻届を受け付ける日本の市区町村役場の力量が問われる(過去に国際結婚の届出事例の少ない役場は、当該事例の受理解釈や先例等の蓄積がなく、上級官庁たる法務局に受理伺いをおこなう事例が多いようです。この場合、婚姻届の受理自体にかなりの時間を要するようです)。

b. タイで先に手続きをとる場合

-利点-

  1. 当館が手続書類の作成に関与するなどするため、本手続きの内容や流れ、書類についての具体的アドバイスを当館より受けることができる。
  2. タイ国婚姻登録証を入手できる(日本で成立した婚姻を、タイに届出した場合、本書は発行されません。本書がないと、将来、タイで協議離婚の登録をする際、日本での婚姻の事実等を立証しなければならないことがあります)。

-欠点-

  1. 手続きのため、日本人配偶者が必ず来タイしなければならない。
  2. 日本で先に手続きをとる場合に比較し、用意すべき書類がかなり多い。
  3. 職業がないと婚姻手続に支障を来たす場合がある
    (タイ国内務省がタイ人と婚姻する外国人に提出を課している書類(結婚資格宣言書という)で、要記載事項に職業・年収がある)。

[ご参考]


(問9)どうして、日本大使館では、はじめに日本の法律に基づいてタイ人と婚姻するための届出を受けつけてくれないんですか?

→(答)戸籍法は、大使館などの在外公館に対して、戸籍に関する創設的な届出をすることができる者(主体)を「外国にある日本人」に限定しています(同法40条)。タイ人との婚姻届は、日本人に加え、相手方タイ人自身も配偶者として届出人となります。このような、日本人と外国人とが共に届出人となる届出の受理権限が法律上、大使館には認められていないからです。

したがって、当初、日本の方式(日本国民法)により婚姻される方は、日本の本籍地または住所地の市区町村役場(市民課戸籍係など)が直接の窓口となりますのでご注意ください。なお、必要書類は、日本の市区町村役場ごと微妙に異なります。タイ人配偶者が提出すべき書類について、事前に日本の役場の担当者に詳しくお問い合わせいただく必要があります。

なお、タイで成立した婚姻を事後に届け出るような、報告的な婚姻届は大使館でも受理することができます。


(問10)タイ人との再婚を予定している日本人です。相手も再婚です。ただし、先夫との離婚手続きは、半年ほど前に済ませたばかりであるといっています。彼女との結婚手続きを進めるにあたり、このことは何か障害になりますか?

→(答)女性が再婚をする場合、わが国の民法(733条1項)には6ヶ月の待婚期間(再婚禁止期間)が設けられています。一方、タイ国民商法上の待婚期間は、310日とされています。もっとも、タイ国法の場合、待婚期間中であっても受胎していない旨の医師の診断書が添付されていれば、婚姻ができる旨の例外規定を設けています(タイ国民商法1453条3号)。

日本人と外国人とを当事者とする婚姻届を受理するにあたって、日本側(市区町村役場)は各当事者の本国法に規定する婚姻の実質要件を具備しているかどうか審査することになっています(法の適用に関する通則法24条)。本件のように日タイ相互で待婚期間の要件に相違がある場合、要件のより厳しい方がその婚姻の実質的成立要件となります。したがって、本件の場合、期間の長さについては、タイ国の方が厳しい要件ですので、タイ民商法の規定を適用することになります。

もっとも、先述したように、タイ国法においては離婚後310日を経過しないで再婚する場合、受胎していない旨の診断書の提出があれば、婚姻できる旨の例外規定があります。この点、日本民法では、このような例外規定を設けていないので、離婚後6ヶ月間以内の婚姻届は受理できません(民法746条)。

しかし、6ヶ月(日本民法上)経過後は、タイ国法(タイ国民商法上の例外規定)が認められることとなり、受胎していない旨の医師の診断書の提出があれば、要件審査が可能となり、婚姻届の受理に当たっての障害(待婚期間)はなくなります。


(問11)まだ、結婚していないのですが、付き合っているタイ人の彼女が妊娠してしまいました。
 生まれてくる子どもは、僕の子ですから、当然、日本国籍はとれますよね?

→(答)出生したときに、父又は母が日本国民であるときは、その子は、出生と同時に日本国籍を取得します(国籍法2条1号)。ここで、「父」とあるのは、生物学的なものではなく、あくまでも、その生みの「母」と法律上の婚姻(民法739条)をしている者(法律上の父)でなければなりません。

そして、法律上有効な婚姻関係にある夫婦間に生まれた子を、法律上「嫡出子」といいます(法の適用に関する通則法28条)。民法は、父母の婚姻を基準として、嫡出子と嫡出子でない子とを区別しています。

日本人男性が外国人女性と婚姻をしないままに生まれた子(嫡出でない子)は、子の出生の時に法律上の父子関係が成立していませんので、日本国籍を取得することはできません。

したがって、あなたがその女性と未だ結婚されていない以上、あなたは、その子の「法律上の父」ではなく、嫡出でない子として生まれてくるお子さんは日本国籍を取得することはできません。日本国籍者でない以上、当然、出生届も出すことはできません。

もっとも、あなたが胎児認知(民法783条)をしていた場合は、その限りではありません。

つまり、生まれてくるお子さんは、「父」であるあなたからみて、未だ嫡出でない子ですが、法的な親子関係を発生させる認知の効果から、例外として、その子は日本国籍を取得することができるのです。

よって、婚姻しないまま生まれた子どもに、出生と同時に日本国籍を取得させるためには、胎児認知をしておく必要があります。

胎児認知qおした場合、出生してから3ヶ月以内にタイ人母が届出人(届出人の第一順位は親権者たる母、第二は胎児認知をした父)となった嫡出でない子の出生届を必ずご提出ください。この届出をされませんと、胎児認知をした意味がなくなってしまいますのでご留意ください。また、胎児認知をしても、結果として、不幸にも死産であった場合にも、同様に胎児認知は無効となります。
  なお、胎児認知をせず、出生したお子さんに日本国籍を事後的に取得させてい場合は、(問13)をご参照下さい。

1.【胎児認知必要書類】

日本人父

  1. 認知届  2通(当館にあり)
  2. 戸籍謄本  2通(届出前3ヶ月以内に取得したもの)

タイ人母

  1. タイ国郡役場からの独身証明書(他の男性による嫡出推定を排除するため)
  2. タイ国住居登録証
    タイ国住居登録証の和訳書式 WORD PDF
  3. タイ人母の同意書(胎児の認知には母の承諾が必要。民法783条1項但書)
    [内容]認知届内の「その他」の欄に「この届出を承認します」と記入し、タイ人母の氏名をタイ語(判読できる書体)で署名して下さい。
  4. その他(該当する場合のみ)
    タイ国氏名変更証(独身証明書受領後、タイ人母が氏名を改めた場合など)

2. 届出人

胎児認知する父親

3. 届出期間

妊娠してから出産するまで(出生後の届出は不可

4. 胎児認知した子の出生届

出生してから3ヶ月以内(日本国内で出生の場合は2週間以内、海外で出生の場合は3ヶ月以内)に母が届出人(届出人の第一順位は親権者たる母、第二は胎児認知をした父)となった嫡出で嫡出でない子ない子の出生届を提出して下さい。

【出生届の必要書類】

  1. 出生届  1通(当館にあり) →記入見本
  2. 胎児認知届受理証明書  1通(本籍地役場から)
    当館以外で胎児認知届を提出した方のみお持ち下さい。
  3. 出生登録証原本(タイ国郡役場発行のもの)
  4. 同写し  1通
  5. 同和訳文  1通(和訳の書式は当館にあり)

(問12)タイ人女性との間に子どもができてしまいました。ところが、自分には日本に妻がおり、その女性とは直ちに結婚できない状況です。とりあえず、その子の将来のために、認知だけはしておきたいのですが、どうすればいいのでしょう?

→(答)認知をめぐる法律事情はやや複雑です。
 認知は、1.子の出生当時又は認知当時の認知する者の本国法(認知する者が日本人であれば、日本国民法)、2.認知当時の子の本国法(認知される者がタイ人であればタイ国民商法)いずれかの法律によっておこなうことができることになっています(法の適用に関する通則法29条1項前段、同2項前段)。

 日本国民法による場合、子の本国法(タイ国法)がその子又は第三者の承諾又は同意を要するときは、その要件(これを子の本国法上での「保護要件」といいます)を備えなければなりません(法の適用に関する通則法29条1項後段、2項後段)。タイ国では、認知に際して母と子の双方の同意が保護要件となっています(タイ国民商法1548条)。

 日本国民法に基づき、日本人父がタイ人の子を認知するには、当該日本人父とその子の母たるタイ人との婚姻の有無及び認知される子どもの年齢(認知に同意を与えることができる意思能力)を基準として、次のとおりに整理されます。

a. 日本人父・タイ人母が未だ婚姻していない場合

認知されるタイ人子に意思能力(自分の行為の動機と結果を認識し、これに基づいて正常な意思決定することができる精神的能力をいう)があるのかどうかによりさらに次の通りとなります。

1. タイ人子に意思能力がないと判断される場合

 父がタイ国裁判所に対して子(母)の同意に代わる後見的許可を求め、裁判所からその許可を相当とする司法命令を得た(これで保護要件が充足される)上で、当事者(父・母・子)がタイ国郡役場にて、タイ国法に基づく認知登録をする。その後、日本側に認知届(報告的)を提出する。

2. タイ人子に一定の意思能力があると判断される場合

 子及び母が認知届に同意する旨の署名をすることで保護要件が充足されるので、タイ国民商法に基づき、認知登録をした上で、日本側に認知届(報告的)を提出する。

 ●認知届(報告的)の提出に必要な書類は、次のとおりです。

  1. 日本人父の戸籍謄本(発行日から3ヶ月以内のもの) 2通
  2. タイ国認知登録証(原本に限る)
  3. 上記和訳文(要 翻訳者明記)
  4. 認知された子のタイ国出生登録証(原本に限る)
  5. 上記和訳文(要 翻訳者明記)
  6. 認知された子のタイ国住居登録証(原本に限る)
  7. 上記和訳文(要 翻訳者明記)1頁、個人頁、18頁(該当ある場合のみ)
  8. その他(該当する場合のみ)
    タイ国氏名変更証(認知された子又はタイ人母が氏名を改めた場合)

b. 日本人父・タイ人母がすでに婚姻している場合

非婚関係で出生したタイ人子は、その後の父母の婚姻によりタイ国民商法上、父の法律上の子として扱われます(同法1547条)。すなわち、日本国法(民法)上、嫡出子たる身分を取得するので、認知することが法律上できなくなる(民法779条)ことから、上述の保護要件が不要となります。

この場合は、日本国民法に基づく認知届(創設的)を提出することができます。 なお、2009年1月の改正国籍法の施行に伴い、渉外、すなわち国際間の認知届(日本国民法に基づく創設的認知届)を受理するに当たり、上述の民法779条の趣旨(父又は母が認知することができるのは嫡出でない子に限る)を徹底するため、新たに母の本国官憲(郡役場など)が発行した「独身証明書」等、認知した子が嫡出子でないことを確認することができる書面の提出が必要となりましたのでご注意下さい。

以上から考察するに、あなたとその母たるタイ人は、いまだ婚姻(民法739条1項)せず、そして、お子さんも意思能力がないと判断され、その結果あなたの認知に同意を与えることはできません。したがって、上述した保護要件が充足されないこと(上述のa1に該当)から、日本国民法に基づく認知(創設的)をおこなうことはできません。この場合は、認知について、タイ国裁判所の許可を得た上で、タイ国民商法に基づく認知をおこない、タイ国側から認知証書の発行を受けた上で、日本に認知届(報告的)を提出されるのがよいかと思われます。なお、タイ国法に基づく認知手続の方法については、タイ国郡役所にお問い合わせ下さい。

●必要書類等は、~タイで「認知届」を行う場合~をご参照下さい。


(問13)このたび、正式にタイ人と結婚を済ませました。実は去年、長女が生まれています。今度、妻ともども日本につれて行きたいと思っています。ところで、生まれてから3ヶ月以内に出生届を出さなかったので、今となったら、この長女は、もう日本国籍をとれないんですよね・・・・。

→(答)ご長女が出生された時点で、あなた方ご夫婦は結婚されていなかったわけですから、(問11)でご説明したように、お子さんは、その時点では、あなたとは、法律上の父子関係がなかったことから、日本国籍が出生の時点では認められず(国籍法2条1号)、その結果、出生届自体を提出できなかったことになります。

このお子さんのように、出生と同時に日本国籍を取得できなかった(出生届を提出しようにも提出できなかった)子は、国籍法の規定に基づき日本国籍を事後的に取得することができます(同法3条)。

すなわち、出生後に、父または母が認知した子で、20歳未満の者(日本国民であった者は除く)は、認知した父又は母が、その子が生まれた時に日本国民であって、しかも、現在も(死亡していれば死亡のときに)日本国民であるとき(あったとき)は、法務大臣に届け出ることによって日本の国籍を取得することができます。 この届出は国籍取得届といい、その届出のときに子は日本国籍の取得が認められます(同法3条2項)。

したがって、あなたが、今後、長女をあなたの子として認知(問12を参照)すれば、その子には日本国籍取得の道が開かれるわけです。国籍取得が認められれば、その時点で、日本とタイとの二重国籍者となり、日本のパスポートを作ることが可能となります。お子さんは日本国籍者であるので、日本行きのビザを取ることなどもちろん必要ありません。日本のパスポートを使って日本人として入国すればよいのです。

なお、2009年1月の改正国籍法の施行に伴い、渉外、すなわち国際間の認知届(日本国民法に基づく創設的認知届)を受理するに当たり、父又は母が認知することができるのは、嫡出でない子に限るという民法779条の趣旨を徹底するため、新たに母の本国官憲(郡役場など)が発行した「独身証明書」等、認知した子が嫡出子でないことを確認することができる書面の提出が必要となりましたのでご注意下さい。

認知による日本国籍取得手続きの流れや必要書類は下記をご参照ください。 なお、国籍取得届は次にあるように、合計2回ご提出いただきますが、根拠法令が異なるも のであり、全く別の性格のものでありますことをご理解ください。

A.【認知による国籍取得届必要書類】(国籍法3条第1項に基づくもの)

  1. 国籍取得届(当館にあり) 1通
  2. 写真(縦横4.5cm、親子3人の上半身写真) 2枚
  3. 認知した父(又は母)の出生時からの戸籍及び除かれた戸籍の謄本(除籍謄本)又は全部記載事項証明(手続き前3ヶ月以内に発行されたもの)2通  
     *現在の戸籍には認知の事実が記載されていること。
  4. 認知に至った経緯等を記載した父母からの申述書 1通
     *外国文の場合は日本語訳の添付が必要。
     *添付できないときはその理由を記載した書面の提出が必要。
      「認知に至った経緯等を記載した申述書」の書式→WORD PDF
       「認知に至った経緯等を記載した申述書」記入見本→WORD PDF
  5. 国籍を取得しようとする者を母が懐胎した時期に係わる父母の渡航履歴を証明する書類(パスポート等) 1通
     *外国文の場合は日本語訳の添付が必要。
     *添付できないときはその理由を記載した書面の提出が必要。なお、認知の裁判が確定している場合は提出しなくてもよい。
  6. 国籍の取得をしようとする者のタイ国住居登録証(原本に限る) 1通
  7. 上記和訳文(要 翻訳者名明記) 1通
      「タイ国住居登録証」の和訳書式→WORD PDF
  8. 国籍の取得をしようとする者のタイ国出生登録証(原本に限る) 1通
     *国籍の取得をしようとする者が日本国内で出生した場合は、出生届記載事項証明書又は出生届受理証明書の提出が必要。
  9. 上記和訳文(要 翻訳者名明記) 1通
      「出生登録証」の和訳書式→EXCEL PDF
      「出生登録証」の和訳書式記入見本→EXCEL PDF

【備考】

  1. 関係者(父・母・15歳以上の子)は手続き時に当館にお越しください。
  2. 国籍の取得をしようとする者が15歳未満であるときは、法定代理人(通常は父母)が届出人となります(法18条)。
  3. 国籍の取得をしようとする者が、居住する場所を管轄する法務局又は地方法務局及び在外公館でのみ提出可能です(国籍法施行規則1条)。
  4. 国籍取得届提出後、およそ3ヶ月で、法務省より当館(提出先公館等)に国籍取得証明書が郵送されます。その後、当館よりご本人に連絡いたします。

B.【国籍取得届】(戸籍法102条に基づくもの)

  1. 日本国籍を取得したことを戸籍に登載するために報告的届出を行ってください。
     *国籍取得から1ヶ月以内(海外在住の場合は3ヶ月以内)に届出をしてください。
  2. 登載手続きに要する日数は、届出後約1ヶ月半です。
  3. その後パスポートを申請される方は、戸籍抄本(又は謄本)を本籍地役場よりお取り寄せ下さい。

(問14)タイ人と再婚しました。その人には前夫との間に生まれた5歳の女児がいます。
その子を自分の子として養育したいと思っています。できれば、認知をして、苗字も自分と同じにしたいのですが、・・・・。

→(答)他人の子どもを認知することはできません。ご質問の場合、認知ではなく、養子縁組の手続が必要と思われます。

ところで、日本人(養親)と外国人(養子)とが養子縁組する場合は、養親たる日本人の本国法、すなわち、日本国民法によることになります(法の適用に関する通則法31条1項前段)。そして、養子の本国法上、養子縁組の成立について、養子自身や第三者の承諾、同意または裁判所等の機関の許可等を要件とするときは、その要件(「保護要件」といいます)をも備えることが必要であるとしています(同31条1項後段)。

タイ人未成年者とタイ国法(タイ国養子縁組法)に基づき、養子縁組する場合、その者がタイ人配偶者のいわゆる「連れ子」であっても、タイ国社会開発・人間安全保障省管轄の「タイ国養子縁組委員会」(Child Adoption Center)の事前許可を得る必要があります。その子の養育をおこなうについて、あなたが養親として適格性があるのかどうか、住居・職業・犯歴など様々な観点から、審査や調査がおこなわれるようです。

すなわち、これがタイ国法上の保護要件であり、この許可を得ない限り、養子縁組することはできません。

同委員会の許可を得た上で、タイ国で養子縁組が成立(タイ国民商法1598/27条)し、タイ国の郡役場が改姓を認めれば、その子は、あなたの苗字を名乗ることができるでしょう。また、タイでの養子縁組成立後3ヶ月以内に日本側(大使館・総領事館または日本の本籍地役場)に養子縁組届(報告的)を提出しなければなりません(戸籍法41条・13条5号)。

タイ国法に基づく養子縁組の手続きの詳細については、同委員会(連絡先、下記の通り)に先ずはお問い合わせ下さい。

Child Adoption Center
255 Ratchavithi Road, Thung Phayathai, Ratchatewi, Bangkok.10400
Tel. 02-354-7500, 02-354-7509, 02-354-7511


(問15)タイ人夫との離婚を考えています。結婚は最初タイで手続きしました。
2歳の男児がいますが、この子は私が引き取って育てたいと思っています。
タイで離婚するにはどのようにしたらよいのでしょうか。

→(答)外国人との離婚すなわち渉外的離婚をめぐる法律事情も複雑です。

一般に、外国に居住している日本人と外国人との離婚手続きについては、夫婦の共通の本国法がないことから、夫婦共通の常居所地(単なる居所とは異なり、人が相当長期間にわたって居住する場所)の法律によることになっています(法の適用に関する通則法27条・25条)。

あなた方ご夫婦は、ともにタイにお住まいになっているようですので、共通の常居所地がタイ国にあると認められます。国際私法(外国人との離婚など国際間の私法関係を調整する法律、日本の場合は、「法の適用に関する通則法」という)上は通常、タイ国の法律(タイ国民商法)によることになります。そして、あなたの場合、タイで先に婚姻手続をとっておられる(タイ国婚姻登録証を取得済)ことから、タイで協議離婚の登録ができます(タイ国民商法1531条等)。

夫婦の資産分割や子の扶養や監護等(いわゆる親権者の指定)について、ご夫婦間で協議が整えばタイで協議離婚の登録をして、それから3ヶ月以内に日本側に離婚届(報告的)をご提出していただくのが最も一般的な手続き方法でしょう。なお、万一、協議が整わない場合など、タイで協議離婚ができない場合は、裁判による離婚をお考えにならなければならないでしょう(タイ国民商法1514条等)。
  タイでの離婚登録手続きの詳細については、タイ国郡役場にお問い合わせください。

なお、タイ国での離婚の成立後、日本に離婚届(報告的)を提出する場合に必要な書類は次のとおりです。

  1. 日本人の戸籍謄本(発行日から3ヶ月以内のもの)  2通
  2. タイ国離婚登録証(バイサムカンガーンヤー)(原本に限る)
    親権者として監護すべき子どもがいる場合は、タイ国離婚登録簿(バイタビアンガーンヤー)もあわせてご提出ください。
  3. 上記和訳文(要 翻訳者明記)

  4. 離婚登録証の和訳書式 WORD PDF
    離婚登録簿の和訳書式EXCEL PDF
  5. タイ国住居登録証(原本に限る)
  6. 上記和訳文(要 翻訳者明記)1頁、個人頁(配偶者)、18頁(該当ある場合のみ)
    タイ国住居登録証の和訳書式 WORD PDF
  7. その他(該当する場合のみ)
    タイ国氏名変更証(タイ人配偶者が婚姻後に氏名を改めた場合)

その他離婚に関する手続き全般については当館ホームページをご覧ください。


(問16)タイ人妻との離婚を考えています。結婚は最初日本で手続きしました。 タイで起業し、日本の住民票は10年ほど前に抹消しましたので、日本にはもう住所がありません。タイで離婚手続するにはどのようにしたらよいのでしょうか。

→(答)(問15)でご説明しましたように、外国に居住している日本人と外国人との離婚手続きについては、夫婦の共通の本国法がないことから、夫婦共通の常居所地の法律によることになっています(法の適用に関する通則法27条・25条等)。もっとも、その夫婦の一方が日本に常居所がある日本人である場合は、日本国民法によっても離婚手続をとることができます(同法27条但書)。

 したがって、あなた方ご夫婦の場合、ともにタイ国に在住ですので、タイ国法に基づき離婚登録手続きを進めることができるものと思われます。ただし、タイ国法に基づき成立した婚姻の解消ではないので、当該婚姻事実の証明や根拠法たる日本国民法が協議離婚を認めていること等の説明を求められるかもしれません。
本手続きの詳細は、タイ国郡役場にお問い合わせ下さい。

 なお、あなたの場合、日本の住民票を抹消されており、日本に常居所がないと判断されることから、現状では日本国民法に基づく離婚手続きを進めることはできないものと判断されます。(法の適用に関する通則法27条但書)。

その他離婚に関する手続き全般については当館ホームページをご覧ください。


(問17)タイと日本、両国で婚姻手続がようやく終わりました。妻(タイ人)は改姓し、私と同じ苗字になりました。タイのIDカード(身分証明書)や住居登録証(タビアンバーン)、それからパスポートの姓も変わっています。ところが、日本の私の戸籍謄本を取り寄せてみると、妻の姓表記は、旧姓のままで、変更されていません。私の姓に変更するにはどうしたらいいのでしょうか?

→(答)タイのIDカードや住居登録証上の姓の表記が、日本人夫であるあなたの姓に変更されても、日本の戸籍謄本の表記は自動的に変更されません。謄本上の外国人配偶者の姓名を変更するためには、戸籍法(先例)に基づく「申出」をおこなう必要があります(なお、本申出は任意のもので必ずしなければならないものではありません)。
本申出に必要な書類は次の通りです。

【必要書類】

  1. 申出書(当館にあり)
  2. 日本人夫の戸籍謄本(発行日から3ヶ月以内のもの)  2通
  3. タイ人配偶者のタイ国住居登録証(原本に限る)(*改姓の形跡がわかるもの)
    (改姓の形跡がない場合は以下の書類)
    • 旅券(但し、追記欄に改姓の事実が記載されていること)
    • 旧登録証及び改姓の事実を宣する申述書
  4. 同和訳文(要 翻訳者明記)翻訳箇所:1頁、個人頁、18頁(該当ある場合のみ)

  5. 住居登録証の和訳書式 WORD PDF

(問18)先月、タイ人夫が死亡しました。親族の援助もあって、タイ側での手続きは無事終わりました。日本側にはどのような手続きが必要とされるのでしょうか。

→(答)配偶者の死亡により、婚姻は当然に解消されます。配偶者の死亡に基づく婚姻解消事項の記載は、死亡した配偶者が外国人である場合でも、戸籍にその旨の記載を要することになっています。

したがって、あなたの場合も、ご主人の死亡の事実を日本側に申し出ることによって、あなたの戸籍に、その旨の記載(死亡者の氏名・死亡日時や場所・届出者氏名等)をする必要があります。
同申出に必要な書類は次の通りです。

【必要書類】

  1. 婚姻解消事由(死亡事項)の記載方に関する申出書(当館にあり)
  2. 日本人の戸籍謄本(発行日から3ヶ月以内のもの)  2通
  3. タイ人配偶者の死亡登録証(モラナバット)(原本に限る)
  4. 同和訳文(要 翻訳者明記)

(問19-a)父が日本人(タイ国永住許可なし)、母がタイ人です。現在、日本とタイ、二つの国籍を持っています。国籍の選択制度について教えてください。

→(答)国籍法は、国籍の取得と喪失の要件等を定めた法律です(昭和25年制定)。

国籍法は1984(昭和59)年に抜本的に改正されました(翌1985年1月1日施行)。すなわち、いわゆる「父母両系血統主義(同法2条1号)」の採用です。従来の、いわゆる父系血統主義の立場では、外国人男性と国際結婚した日本人女性の子は、日本国籍を取得することはできませんでした。

この立場を、父母両系血統主義と改めることにより、出生したときに、父または母のどちらかが日本国民であれば、その子は日本国籍を取得することができるようになりました(ちなみに、タイ国が父母両系血統主義になったのは、1992(平成4)年です)。その結果、日本国籍以外の他国の国籍を持つ、いわゆる重国籍者の数が昭和60年以降、大幅に増えました。

一方、わが国の国籍法には、「国籍唯一の原則」(人は必ず一つの国籍を持ち、必ず唯一の国籍を持つべきである)の精神に立脚しています。いわゆる重国籍者には、複数の国家主権が重複して及ぶことになるため、個人にとっても、また、国家にとっても国際的摩擦(兵役義務や外交保護権の衝突など)の原因になりやすいと伝統的に考えられています。国際法上も、できるだけ重国籍をなくしていくのが望ましいとするのが通説的見解です。

「国籍の選択制度(法14条) 」というのは、重国籍者に自己の自由意思に基づき、その国籍を主体的に選択させることにより、かかる重国籍者を減らしていく一環として設けられた制度であるといえます。

具体的には、新法施行後の1985(昭和60)年1月1日以後、重国籍となった日本国民の方は、①20歳に達する以前に重国籍となったときは、猶予期間の2年をおいて22歳に達するまで、②20歳に達したあとで、重国籍になったときは、重国籍となった時から2年の猶予期間内に、日本の国籍か外国の国籍かのどちらかを選択しなければなりません。この法定期限内に、選択をしないでいると、法務大臣から催告を受け、場合によっては、日本国籍を失ってしまうことがあります(法15条)。

その一方、新法施行の際(1985年1月1日)、既に重国籍となっている日本国民の方は、国籍選択の法定期限内に、選択をしないでいると、今度は逆に、外国の国籍を放棄し、日本国籍を選択したものとみなされます(法14条2項・法附則3条)。

このように、重国籍となった時期が、新法施行の前か後かによって、法定期限内に国籍選択をしなかった場合の法的効果が異なっていますので、ご注意ください。

(問19-b)私は、1989(平成元)年5月1日生まれなんですけど、いつまでに国籍を選択しなければならないんですか?

→(答)説明が重複しますが、改正国籍法施行後の1985(昭和60)年1月1日以後に、重国籍となった日本国民は、①20歳に達する以前に重国籍となったときは、猶予期間の2年をおいて22歳に達するまで、②20歳に達したあとで、重国籍になったときは、重国籍となった時から2年の猶予期間内に、日本の国籍か外国の国籍のどちらかを選択しなければなりません。

そこで、国籍選択の時期がいつになるかは、ご自分がいつ重国籍になったのかを知っておく必要があります。

あなたの場合(父・子供の出生時、タイ国永住許可なき日本人、母・タイ人)、1989(平成1)年5月の出生時点では、当時のタイの国籍法はいまだ父系血統主義(タイ国籍を取得するためには、父がタイ人でなければならない)に立脚していたため、タイ国籍は取得できず、日本国籍しかなかったことになります。タイの国籍法は、1992(平成4)年に改正され、日本と同様に父母両系血統主義に改められました。

この改正法に基づくタイ国籍取得の手続に関する解釈は次のとおりです(仏暦2544年タイ国内務省国民登録課発 文書番号モー・トー・03101/1243)。

【モー・トー・03101/1243】

  1. 1992年の国籍法(第2版・改正新法)の施行前に出生した者で、父あるいは母のいずれかをタイ国籍者とする者は、その出生がタイ国の内外にかかわらず、改正後の7条(1)及び第2版10条に基づき、出生により当然にタイ国籍を取得する(つまり、自己の志望によりタイ国籍を取得するのではなく、改正法の反射的効果として、タイ国籍が自動的に付与されたと解釈できます)
  2. 上記の各条項の条件に適合する者について、タイ国籍取得手続がおこなわれた場合、この者は、出生の時からタイ国籍を取得するとみなす。
  3. 本国籍取得手続をおこなうことができる申請人は、父、母あるいは、本人が成人に達している場合は本人のうちいずれでもよい(時効的期間の定めはありません)。

あなたの場合、現在、タイ国籍をお持ちということであるならば、同法の規定(7条(1)及び第2版10条)に基づき、タイ国籍を後発的に取得したはずです。先の改正法の趣旨を踏まえると、タイ国籍取得の時期は、出生の時からということにみなされますので、あなたが重国籍となった時期は、出生時(1989年5月1日)ということになります。

したがって、あなたの場合、1985(昭和60)年1月1日以後に、重国籍となっていますので22歳に達するまでに、日本の国籍か外国の国籍のどちらかを選択しなければなりません。

もっとも、もし、あなたが、同改正法施行前に、旧法の規定に基づき、タイ国籍を自主的に取得した場合は、自己の志望によって外国の国籍を取得した場合に該当します(国籍法11条1項)。この場合は、重国籍とはならず、国籍喪失の事実を知った日から法定の期限内に、国籍喪失届を在外公館または本籍地役場に提出しなければなりません(戸籍法103条)。

以上、両国の国籍法を基に、重国籍となる時期がいつになるのかを整理すると、下表の通りとなります。

父/母タイ人母日本人母
(タイ国永住許可有)
日本人母
(タイ国永住許可無)
日本人父
(タイ国永住許可有)
出生時に両国籍を取得出生時に両国籍を取得日本国籍のみ
日本人父
(タイ国永住許可無)
出生がタイ国籍改正法(1992年)施行以後である。

出生時に両国籍を取得
日本国籍のみ 日本国籍のみ
出生がタイ国籍改正法施行以前であるが、
同法施行後に同法に基づきタイ国籍を取得した。

出生時に両国籍を取得
日本国籍のみ 日本国籍のみ
出生がタイ国籍改正法施行以前であり、
かつ、同法施行前に、旧法の規定に基づき国籍を自主的に取得した。
自己の志望によりタイ国籍を取得した場合に該当(国籍法11条)。

日本国籍喪失
日本国籍のみ 日本国籍のみ
タイ人父タイ国籍のみ出生時に両国籍を取得出生時に両国籍を取得

(問20-a)日本の国籍を喪失するのはどのような場合ですか?

国籍法上、日本の国籍を喪失するのは下記の6例です。

  1. 自己の志望による外国国籍の取得(法11①)
  2. 外国法令による外国国籍の選択(法11②)
  3. 出生届提出時の国籍不留保(法12)
  4. 国籍の離脱(法13)
  5. 国籍選択の催告(法15③)
  6. 法務大臣の宣告(法16)

(問20-b)私は昭和48(1973)年にタイ国籍者の夫と婚姻した後、タイ国籍を取得しました。私の場合、日本国籍を喪失してしまいますか?

タイの国籍法(1952年制定)は、1960(仏暦2503)年2月に大きく改正されました。改正前は、タイ国籍者と婚姻した外国籍の女性は、別段の手続きを経ることなく、タイ国籍を取得することができた(旧法8条)のに対し、新法は同条項を下記の通りに改正しました。

●タイ国国籍法(第4号) 第5条
 タイ人と婚姻する外国人女性は、省令の定める規則及び手続に従って申請し、内務大臣の許可を得ることによりタイ国籍を取得することができる。
 すなわち、タイ国籍者と婚姻した外国籍の女性に対し、旧法ではタイ国籍を婚姻と同時に無条件に付与されたのに対し、新法ではその取得を外国籍者の意思(国籍取得の申請)に委ねることにしました。
 あなたの場合、婚姻は昭和48(1973)年に行われていますので、新法下での特段の手続きによりタイ国籍を主体的に取得したものと思われます。 よって、「自己の志望によって外国の国籍を取得した」(日本国・国籍法11条1項)場合に該当いたしますので、日本の国籍を喪失することになります。 従って、国籍喪失届を提出して頂く必要があります。

(問20-c)国籍喪失届を提出するに際して、必要な書類等は何ですか?

以下の通りです。なお、手続きの詳細については当館領事部・戸籍国籍担当にご相談下さい。

  1. 国籍喪失届 : 1通
  2. ご本人の戸籍謄本(発行日から3ヶ月以内のもの) : 2通
  3. タイ国籍取得(帰化)の事実を記したタイ国官報
  4. 上記該当和訳文(要翻訳者名明記)

 

(問20-d)わかりました。ただ、私の場合、将来は、また日本に住むかもしれません。その場合、日本の国籍を再取得することができるのでしょうか?

いいえ、国籍法上、日本の国籍を再取得できる場合は次の場合に限られます。

  1. 国籍不留保による国籍喪失者の国籍再取得(法17①)
  2. 官報催告による国籍喪失者の国籍再取得(法17②)

 あなたの場合は、国籍の再取得ではなく、帰化の手続きによって、日本国籍を「取得」することができます。 帰化の要件は次の通りです(国籍法5条)。 なお、あなたのような、元日本人であり、一旦、「日本の国籍を失った」(法8条3号)方が帰化申請される場合、「簡易帰化」といって、より緩やかな条件(住所、能力及び生計要件が普通帰化の場合より緩和される)で帰化が認められます。

●法5条1項に定める帰化の条件

  1. 住所要件 : 引き続き5年以上日本に住所を有すること。
  2. 能力要件 : 20歳以上であって、本国上でも能力者であること。
  3. 素行要件 : 素行が善良であること。
  4. 生計要件 : 自己または生計と一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができること。
  5. 重国籍防止要件 : 現在国籍を有しないこと、または、日本国籍を取得することによって現在有している国籍を喪失すること。
  6. 憲法遵守要件 : 日本国憲法や日本政府を破壊させるような思想をもっていないこと、また破壊させることなどを企てる政党や団体を結成したり、そのような団体に加入していないこと。

●簡易帰化が認められる外国人(法8条) 
 次に該当する外国人については、法務大臣は、法5条1項に定める住所要件、能力要件及び生計要件に定める条件に達しない場合でも帰化を許可することができる

  1. 日本国民の子(養子を除く)で日本に住所を有するもの
  2. 日本国民の養子で引き続き1年以上日本に住所を有し、かつ、縁組の時本国法により未成年であったもの
  3. 日本の国籍を失った者(日本に帰化した後日本の国籍を失った者を除く)で日本に住所を有するもの
  4. 日本で生まれ、かつ、出生の時から国籍を有しない者でその時から引き続き3年以上日本に住所を有するもの

帰化手続きの詳細については、日本の法務局にご照会ください。

↑ このページのトップへ戻る