
2010年1月25日
日本政府は、草の根・人間の安全保障無償資金協力による「ムーン川保全計画」への支援を決定しました。1月20日、当館にて小町恭士大使とムーン川流域開発ネットワークのサハラート・サケーウ事務局長との間で署名式が行なわれました。
ムーン川はナコンラチャシマ県を源流としブリラム県、スリン県、シーサケット県、ウボンラチャタニ県を通り、メコン川に流れ込みます。スリン県を流れるムーン川は11の支流を持ち、チュムポンブリー郡、タートゥーム郡、ラタナブリー郡を流れています。同地域には「乾期・雨期に応じ季節的に浸水する天然林」が広がり、長く水に浸かるエリアに植生する植物が存在します。乾季には虫や小動物が生息し、雨季には水嵩が増し森を水が覆い、様々な水棲生物が生息し、繁殖の場となり、食料供給源となっています。
しかしながら、「乾期・雨期に応じ季節的に浸水する天然林」における経済林植樹のための伐採、不適当な漁法の横行、砂採掘などによる河岸の浸食、ダムやコンクリート水路の建設により、ムーン川中流域の環境は憂慮すべき状況にあります。
流域両岸の住民の生活は、川の資源と相関関係にあります。従って、環境回復活動と同時に監視のためのコミュニティの能力強化がなされる必要があります。同時に、支流においても体系的管理がなされるべきであり、支流を含む河川の重要性の認識を促進する必要があります。
団体はこれまでにも住民のグループ化やネットワーク化にある程度の成果を上げているものの、住民参加による河川環境回復・保全活動が定着しているとは言い難く、更に住民の理解を促進し、活動の定着化を図る必要があります。
今般、日本政府は、同団体からの要請に応え、住民の河川生態系学習、コミュニティリーダーの能力強化及びネットワーク開発、生態系の回復保護活動、広報活動に対して総額2,785,300バーツを支援することを決定しました。
本プロジェクトにより、河川環境と生物多様性が回復することにより地域住民の食の安定が確保され、地域住民の学習過程が促進されることにより資源管理についての理解が深まります。また、コミュニティグループのネットワークが強化されることにより環境監視能力が高まり、魚種保存や水資源回復の知識がPRされることにより、一般住民への理解が広まることが期待されます。
日本政府としては今後とも、草の根・人間の安全保障無償資金協力を通じて、草の根レベルの天然資源回復・保護に直接裨益するプロジェクトへの支援を行なっていく方針です。