
2010年3月16日
日本政府は、生活のための森林海洋プロジェクトが実施する「バンドン湾地域における環境改善及び住民の自立促進計画」に対して、草の根・人間の安全保障無償資金協力による支援を行いました。この支援により、同団体はエビペースト小屋と食品加工作業所を建設しました。平成22年2月25日並びに26日の2日間に亘って両作業場の落成式が行われ、在タイ日本国大使館大鷹公使とダムリ・ブーンチン・スラタニ県知事、サニット・カンチャナディット郡長、ニコム・チャイヤー郡長等が出席しました。
バンドン湾はスラタニ県に位置する国際的に重要な湿地帯であり、全長120キロに及ぶタイ南部では最大の入り江です。11の大小の河川から水が流れ込み、沿岸林、海草、珊瑚、数多の海洋生物などが繁殖し、様々な海洋生態系の宝庫となっています。
この地域では、エビや貝の養殖が活発に行われる一方、商業的底引網漁業により漁場の荒廃が進み、炭作りやエビ養殖地確保のための沿岸林伐採が沿岸林の消失を引き起こしています。また、エビ養殖場や工場などからの汚水による沿岸林の消失もあり、地域で漁業を営む小規模漁民に甚大な影響が及んでいます。
こうした現状に対応するために、バンドン湾では漁民自身が資源の保護・回復を実施しながら生計を立てていくためのグループ化が進みつつあります。グループは沿岸林の植林、稚魚の放流、人口珊瑚の製作などを行い住民の資源保護の意識を高めるとともに、職業グループ活動により収入の向上に努めています。また、漁民グループのネットワーク化が進みつつありますが、漁民グループの数が少なく地域全体が抱える問題に対処するための能力は不十分です。
今般、日本政府は、同団体からの要請に応え、スラタニ県のバンドン湾の8地域における漁民に対してグループの設立、コミュニティの能力強化、沿岸海洋資源回復活動、所得創出のための職業支援のために総額2,774,300バーツを支援しました。
現在、同団体は地元住民の参加により、人工珊瑚の設置、植林活動、漁場を保護する漁具への変更支援を行い、海洋資源の回復を推進しています。また、職業開発活動としての魚介類の加工研修やカニの養殖を実施しています。住民は日々話し合いを重ね、地域が抱える問題に対処する気運が醸成されつつあります。
日本政府としては今後とも、草の根・人間の安全保障無償資金協力を通じて、草の根レベルの天然資源回復・保護に直接裨益するプロジェクトへの支援を行なっていく方針です。