タイにおいては、銃器や薬物が比較的容易に手に入ること等を背景に、日本の数倍の割合で殺人、強盗、強姦事件等の凶悪犯罪やテロが発生している。また、在タイ日本国大使館の邦人に関する援護活動の件数が世界の他の公館と比べても大変に多いということが示しているように、日本人が事件、事故に巻き込まれる確率も高くなっている。
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タイにおける日本人の主な被害は、旅券や現金等の貴重品を目的としたスリ、置き引き(タクシーを含む)、空き巣、睡眠薬強盗、宝石・洋服のキャッチセールス、いかさま賭博等財産犯罪となっている。他方、件数こそ少ないが、刃物などを使用した強盗事件や暴力的なひったくり事件、また、交通事故など身体に被害が及ぶ事故に遭うこともある。
タイ警察の2008年の犯罪統計によれば、殺人(未遂含む)8,179件、強盗4,800件、強姦4,644件と、それぞれ日本に比べて数倍から十数倍の発生件数である。また、銃器不法所持検挙者は24,072人、薬物犯罪検挙者は213,717人が検挙されており、これら薬物、銃器の氾濫が凶悪事件多発の原因とも言われている。
2006年9月に発生した政変前後には、同年大晦日の連続爆発事件(タイ人3名が死亡、6名の外国人を含む少なくとも39名が負傷)等の爆発事件が断続的に発生した。また、政権に反対する勢力が、バンコク等で政治集会やデモ活動を行い、2008年11月におけるバンコク都内2空港閉鎖に続き、2009年4月の大規模デモで治安当局との衝突が生じた。今後の政局の行方等によっては、再度活発化する可能性もあり、引き続き注意を要する。
タイ南部(一般的には、ヤラー、パタニ、ナラティワート、サトン、ソンクラー県を指す。なお、特に前3県を指して「深南部」との呼称も用いられる。)における分離独立を標榜する勢力等によるテロ事件は、2008年の新政権発足後も、沈静化の兆しは見られない。これまで、南部反政府勢力が、首都バンコクやプーケット等の観光地を攻撃対象としたとされる事案は発生していないが、情勢の推移に注意が必要である。
これまでのところ、タイ国内においては、イスラム過激派によるテロ攻撃は行われていない。しかし、イスラム過激派国際テロ組織構成員がタイ国内で活動を行っていたことが確認されている。また、日本は、これらテロ組織から攻撃対象とされていることから、タイにおける日本権益が攻撃対象となる可能性は否定できず十分注意する必要がある。
市場(特にチャトチャック市場)、デパート、ホテル、空港、乗合バス等の混雑する場所において、財布・パスポート等をスリ取られたり、カバン等が置引きされたりしている。特に、BTS(スカイ・トレイン)やデパートのエスカレーターにおいて、前後をスリ集団に挟まれ、前の一味により行く手を阻まれた時、後ろの一味により財布をスリ取られるという手口もある。ひったくりは、日本人が多く住むスクムビット地区の内ソイ(路地)において、バイクによりバック等をひったくられるというもので、引倒され大怪我を負わされるときもある。
「近く妹が日本に行くので日本の事情を教えてほしい」等と親しげに声を掛けられ、自宅と称する家にBTSやタクシーなど小刻みに乗り継いで案内され、「上手な勝ち方(いかさま)を教える。一緒にブルネイ人の金持ちからお金を巻き上げよう」と言葉巧みに「ブラック・ジャック」等のトランプ賭博に誘い込まれる。当初は勝たせてもらえるが、最後の勝負で大金を賭けさせられて負け、現金を巻き上げられるという被害である。最近、特に被害が多く、05年の被害総額は約2,000万円に達しており、暴行などを受けるケースも報告されている。声かけは、主にBTSの駅、サイアム・スクエア周辺、デパート、マーケット(特にチャットチャック市場)などの観光地である。チェンマイ市内においても、同様の被害が発生している。
有名観光スポット等で親しげに声を掛けられ、飲食(酒)を共にして気を許した頃に、勧められた飲み物を飲んだところ、意識が朦朧となり、現金等を奪われるという被害である(一時トイレなどで席を立ったときに自分の飲み物に睡眠薬を入れられたり、前もってジュース缶に注射器で睡眠薬を注入されたりしている場合もある)。意識が戻ったところは病院のベッドの上で、体中傷だらけというケースもある。
トゥクトゥク(三輪タクシー)の運転手等に「格安で市内観光に連れて行ってやる」等、声を掛けられ、お寺等を案内された際、それぞれの場所で「タイ政府の宝石フェアーで大幅な値引きがある」「日本の有名宝石店で売れば2~3倍で売れるので儲かりますよ」等言われ、それを信じて案内された宝石店で安物の宝石を高額で買ってしまうという被害である。洋服の場合は、連れて行かれた店では高級生地と説明されるが、日本に送られたスーツは安物の生地で、仕立ても程度の悪いものであることが多い。
マレーシア等から来たと称するタクシー内の女性から、地図を示されて「道を教えて」と声を掛けられ、車内の女性の横に誘い込まれ、地図を自分の腰の辺りに広げられ、道案内をしている隙に、地図の下のウエスト・バッグ等から財布や旅券を抜き取られるという被害である。
タイ気象局によれば、バンコクの季節は2月中旬から5月中旬までが乾期、5月中旬から10月中旬までが雨期、10月中旬から2月中旬までが寒期となってきるが、12月、1月の比較的涼しい時期を除けば、高温多湿な時期がほとんどである。ホテル、レストラン、BTSスカイトレインや地下鉄などでは冷房が強く、外との温度差がかなりあり体調を崩しやすいため、休養や睡眠を十分とり体調管理に気を付ける必要がある。
イ.タイでは年間150万人余りが、「急性下痢症」や「食中毒」などの消化器感染症などに罹患すると報告されている。外食の際は衛生管理の行き届いた店を選ぶ、食料品の保存管理・飲料水に注意をすることなどが必要。
ロ.デング熱は蚊が媒介するウイルス性急性発熱疾患であるが、ワクチンなどによる予防法はなく、蚊に刺されないことが病気に罹らない唯一の有効な方法である。1年を通じてバンコクでも患者の発生があり、雨期には流行がみられる。
ハ.2004年に17名(うち死亡12名)、05年に5名(うち死亡2名)、06年に3名(3名とも死亡)のヒト感染例が報告されている。07年以降ヒト感染例の報告はない。家畜の鳥インフルエンザは08年11月ウタイタニ県で発生以降19年4月22日まで発生はないが、念のため、鳥を放し飼いにしている場所、生きた鳥を扱う市場などに不用意に近づかない、また死んだ野鳥や放し飼いの鳥に不用意に接触しないなどの注意が必要である。
水道水は洗面や入浴には問題ないが、飲料用としては適さないとされている。飲料水としては、水道水を浄水器に通し、念のため煮沸した後用いるか、または飲料用として市販されているものを用いた方がよい。
また、レストランなどで、水を飲みたい場合はミネラルウォーターなどを注文した方がよい。
バンコクでの医療水準は概して良好であると言える。ただし、公立病院には設備の整っているところもあるが、言葉の問題などもあり、受診はあまりお勧めできない。
私立の総合病院には、日本語通訳や日本語を話す医師が勤務しているところもある。それらの病院のほとんどでは、海外傷害保険のキャッシュレスサービス、クレジットカードによる支払いなどが可能。初診時には、パスポート(コピー可)の提示を求められる。予約は必須ではないが、事前に電話連絡などを行っておくと、待ち時間などが短くて済む。
救急車が必要な場合は、その旨病院に伝えれば、その病院の救急車が迎えに来てくれる(有料)。
(1)タイ国民の王室に対する尊敬の念は極めて強いものがある。国王陛下、王妃陛下を始め皇太子殿下、王女殿下の写真は家庭や商店などいたるところに掲げられており、映画館、劇場では開演時や終了時に、国王陛下の写真を映し、国王讃歌が奏せられる。この際観衆は讃歌の吹奏が終了するまで全員起立することになっている。
(2)タイ国民は国旗を大切にし、床上に放置するようなことはしない。外国人といえどもタイ国の国旗に対し、十分な敬意を払う必要がある。
(3)タイは全国にいたるところに寺院がある。また、商売繁盛、敷地内の安全を祈願し、多くの家庭や商店、事務所、ビルなどでは、仏壇や祭壇を設けている。数多くの厳しい戒律の中で修業を行っている僧侶に対する尊敬の念も深い。これらはタイ人の仏教に対する信仰心が、極めて強いことを物語っている。お寺参りの際には身だしなみに気をつけ、タイ人からひんしゅくをかうことのないように充分注意するべきである。
また、南方上座部仏教(小乗仏教)の教義にのっとり、僧侶は女性に触れてはならないことになっている。女性が路上で僧侶と行きあう場合には、自分の方が身を引いて、僧侶に触れないようにし、乗物に僧侶が乗っている場合には、その座席に近づかないようにしなくてはならない。寺院で金銭を喜捨する場合には、僧侶に直接手渡すのではなく、備えつけの箱に入れるようにしなければならない。また、僧侶に無遠慮にカメラを向けることは慎んだ方がよい。
(4)タイ人はたいへん礼儀正しい国民である。目上の人の前で足を組むようなことはしない。椅子に座っても、股を開いてふんぞりかえるような姿勢は好ましくないとされている。また、時折外国人は足で方向を示したり、指示することがあるが、タイでは、足の裏は人体で不浄な部分とされているため、かかる行為はタイ人にとってひどい侮蔑ととられるので注意を要する。
(5)タイには伝統的なピ-(精霊)の信仰があり、精霊の宿るとされる頭部は人体の内最も尊いものとされている。日本的な感覚で可愛い子などといってむやみに子供の頭をなでたりすることは差し控えた方が良い。