医療情報
- タイの医療環境
- タイで注意が必要な病気
→タイにおいても狂犬病に注意(2010年3月)
→チクングニア熱について(2009年6月)
→デング熱に注意しましょう!(2008年3月) - 日常生活上の注意
- 主な医療機関
- タイの医療情報・流行している感染症情報がわかる日本語のウェブサイト
タイの医療環境
1. 医療施設のレベル
タイの医療環境は地域や医療施設によって大きく異なりますが、主要都市にある代表的な私立病院(→表:主な医療機関)や公立基幹病院の特定領域の医療水準は概ね良好です。
[バンコクの私立病院]
代表的な私立総合病院の中にはわが国の大病院と比較しても遜色ない設備を持っている病院もあり、医療先進国で医学教育や研修を受けた優秀な医師が勤務しています。これらの病院であれば、概ね満足できる診療が期待できるでしょう。また、出産や一般的な手術についても安心して受けてよいでしょう。
日本で医学教育や病院研修を受けているタイ人医師(日卒医)や日本語通訳のスタッフが勤務している病院も幾つかあります。これらの病院なら日本語で診察を受けることも可能であり、日本人の多くはこれらの病院を利用しています。
日卒医:タイには日本の交換留学生制度により日本の医学部や病院で研鑽を積んだタイ人医師が数十名います。その中に日卒医と呼ばれるグループがあり、われわれがよく利用する病院でも診療をおこなっています。日本語が堪能で、親身になって対応してくれるので、日本人の間で頼りにされています。
[地方の私立病院]
地方都市:それなりの私立病院があり、概ね安心して治療が受けられるようです。
ただし、時に日本人重症患者がバンコクや日本へ搬送されたという話も聞かれます。
過疎地:私立病院などまずないので、公立病院を利用する以外に方法はありません。しかし、中央の医療レベルと比較すると歴然とした差があります。
軽症の場合を除き、積極的な利用はお勧めできません。
[公立病院]
公立病院の頂点にある基幹病院では高度な医療も行われています。
公立病院の長所はなんと言っても医療費が安いことです。
短所は、
- 国の年間予算は経済危機以降十分とは言えない状況が続いており、医薬品等の使用に制約がある、
- 病院は終日タイ人患者で溢れ返っており、外来受診はしばしば一日仕事になってしまう、
- 医師の多くは英語を話すものの他のスタッフは話せないと思っておいた方が良く、受診に伴う煩雑な事務手続きに苦労する、
などがあげられます。
→ したがって、日本人が公立病院を利用することはあまりお勧めできません。
事実、長期滞在している日本人の多くは事情が許す限り私立病院を利用しています。
2.医療機関の受診のしかた
[医療機関の選択]
われわれが受診するなら、代表的な私立病院や日卒医のクリニックなどを利用するのが良いでしょう。
医療費は公立病院と較べると割高ですが、スタッフの対応は親切で、清潔かつ快適な診療スペースでゆったりと診察を受けることができます。日本語で受診できる病院やクリニックもあります。
[診断や治療に対する不安や疑問]
タイではまだインフォームド・コンセントの概念が浸透しているとは言えません。したがって、医師の説明不足のために患者側が納得できなかったり、誤解を生じたりすることも起こりうると思われます。
→ もし、診断や治療に疑問を感じたら、遠慮しないで十分な説明を求めるべきです。それでも、疑問や不安が解消できない場合には、他の専門医に意見(セカンド・オピニオン)を聞いてみることも選択肢の一つです。
タイの医学界は米国指向が強く、通常は米国流の診断・治療が行われています。そのために日本の診断・治療法と違うと感じて、不安や戸惑いを覚えることがあるかもしれません。しかし、診断や治療の方法が違っても、間違いと言えないことが少なくありません。
[私立病院の支払い]
医療費は一定の枠内で自由に料金を設定できるシステムになっています。
病院によって治療費に違いがあるのか否か気になるところですが、バンコクの代表的な私立病院について調査した限りでは、病院や医師による違いはあまりないようです。
受診の際には、海外旅行傷害保険の証書、クレジットカード、現金などの支払い能力を示すものの提示が求められます。支払い能力がないと判断された場合には診察を拒否されることにもなりますが、一刻をも争う救急時にその様な事態になれば大変です。
→ 一流の私立病院で質の高い医療を受けるためには、渡航前に海外旅行傷害保険かそれに準じる保険に加入しておくに限ります。タイでもタイ在住の日本人が加入できるような医療保険が販売されているようです。
[救急診療]
緊急の治療を要する事態が生じたら、代表的な私立総合病院の救急外来を受診するのが良いでしょう。これらの病院の救急医療のレベルは概ね良好です。受診の際にはあらかじめ連絡しておいてから出向く方が良いのですが、通常救急部門は通常24時間体制をとっているので、予約をしていなくても受診できます。
[救急車の利用]
救急車を必要とする場合は、受診しようと思う私立総合病院に直接電話をして、救急車による出迎えを依頼するのが良いでしょう。大方の私立病院は救急車を所有しています。
バンコク病院のように、交通渋滞対策として、オートバイで先に看護士を現場に急行させ、看護士と救急担当医とが連絡を取り合って現場で初期治療を開始するシステムを有している病院もあります。
[料金]
救急車の使用料は病院により異なります。有料のところもあれば無料のところもあり、距離によって料金を段階的に決めている病院もあります。有料の場合、料金は10~20米ドルといったところのようです。
公の救急車
タイ政府は日本のような救急車の運用システムを導入しつつあります。しかし、既に実施されているのはごく一部の地域に限られているようです。
その他の運送方法
交通警察に連絡して公立病院所有の救急車を依頼したり、交通情報専門のFM放送局に連絡してボランティア団体の救急車を呼んでもらうことなども行われていますが、われわれには利用し難く、仮に利用できたとしても警察病院やその他の公立病院に搬送されることにもなるので、日本人には賢明な方法とは言えないでしょう。
3.タイの医薬品
タイで使用されている医薬品には、タイ資本の製薬会社のタイ製品と欧米や日本などの外資系の製薬会社(40社以上)の製品(輸入品および現地生産品)とがあります。
医薬品の種類は比較的豊富にあると言っても良いでしょう。日本と同じ量の成分を含んでいる製品が入手できるとは限りませんが、よく使用されている医薬品であれば、多くはタイでも入手できるでしょう。
[品質]
タイ国産の医薬品の中には品質の良いものもあるものの、粗悪品が少なからずあります。とくに売れ筋の医薬品には類似品が多く、中には成分の原末の原価をも下回わるような粗悪品が売られています。
有名外資系メーカーの製品については、概ね良好な品質管理がなされているので、これらの会社の製品を購入するのが無難でしょう。
[入手方法]
タイでも医療用の医薬品は医師に処方してもらうのが原則です。
もっとも、医師の処方箋が必要な薬でも、多くは処方箋がなくても薬局で簡単に買えます。
しかし、安易に薬局で購入すると、適切な薬の選択ができないのみならず、含有量、品質、有効期限などの確認が難しいといった問題があります。
→ 医薬品の入手に際しては、必ず医師の診察を受けて処方してもらって下さい。
[その他の注意点]
一錠中に含まれている成分の量は、日本の一錠中の量よりも多いことがしばしばです。
ただし錠剤によって異なり、日本と同じものもあれば2倍のものもあります。
タイで販売されている錠剤は、タイ人の好みに合わせてあるので、大きく、派手に色づけされていることが多いようです。
散剤(粉薬)や坐薬はタイ人が好まないこともあって、タイでは余り流通していません。湿布薬も、あまり種類はなく、価格も相対的に高いようす。
→ これらの医薬品を常用している場合には日本から持参する方が良いかも知れません。
大量の医薬品を持ち込むと通関の際に問題にされることがあり、注意が必要です。
→ 1カ月以内の使用量なら、通関の際に医師の診断書(英文)を提示すれば持ち込めるようです。
4.予防接種
[重要度の高い予防接種]
成人
A型肝炎、B型肝炎、破傷風は、特に受けておきたい予防接種と言えます。
日本脳炎、狂犬病、腸チフス、インフルエンザなどは、現地の流行の状況や流行地へ出かけるか否か、生活環境や個人の生活様式などによって重要度が異なりますから、事情に詳しい医師と相談の上で決めるのが良いでしょう。
小児
わが国の予防接種法による定期接種の項目(三種混合:DPT、BCG、ポリオ、麻疹、風疹、日本脳炎)については、最低でも所定の回数は必ず受けて下さい。
予防接種は国立病院、保健所、私立病院等で受けられますが、国立の医療機関でも一部の予防接種は有料のことが有りますので、事前に医療機関に問い合わせ下さい。また、私立病院でのワクチン接種は原則として有料です。
タイの小児の予防接種プログラムは次の通りです。
赤字は必須、青字は推奨
| 出生時 | BCGとB型肝炎(1回目) |
| 1カ月 | B型肝炎(2回目) |
| 2カ月 | ジフテリア、百日咳、破傷風の三種混合DPT(1回目)、ポリオ(経口:1回目)、Hib(1回目) |
| 4カ月 | DPT(2回目)、ポリオ(経口:2回目)、Hib(2回目) |
| 6カ月 | DPT(3回目)、ポリオ(経口:3回目)、Hib(3回目) |
| 9カ月 | B型肝炎(3回目) |
| 1歳 | 麻疹、風疹、おたふくかぜの三種混合MMR(1回目) |
| 1歳頃 | 日本脳炎(2週間後に2回目、1年後に3回目) |
| 1歳6カ月 | DPT(4回目)、ポリオ(経口:4回目)、Hib(4回目) |
| 2歳頃 | 日本脳炎(3回目) |
| 4-6歳 | DPT(5回目)、ポリオ(経口:5回目),MMR(2回目) |
| 5歳頃 | A型肝炎(4週間後に2回目、半年後に3回目) |
| 12歳頃 | 水痘 |
| 10-15歳 | ジフテリアと破傷風のニ種混合 |
Hibとはインフルエンザ菌で、風邪のインフルエンザとは異なります。小児の髄膜炎、肺炎の原因菌となり、ワクチンによっては2回のこともあります。
小児の予防接種スケジュールは国によって種類、回数が異なりますが、それはそれぞれの国の病気の流行情況によって定められるものです。長期滞在する場合、その国のスケジュールに従うのが鉄則です。
[予防接種の実施場所]
日本人がよく利用している代表的な私立総合病院では接種できるはずです。
ただし、現地生活の早い時期から免疫能を獲得しておきたいこと、予防接種事故が万一起きた場合の補償のことなどを考慮すると、可能なものについては予め日本で受けておきたいものです。追加免疫についても、可能であれば帰国の機会を利用して日本で接種するのが良いでしょう。
[ワクチンの品質]
代表的な私立病院では、欧米または日本から輸入したワクチンを使用しているはずですから、品質については心配しなくても良いでしょう。
最近、改良型の沈降精製三種混合ワクチン(DTaP)も接種できるようになりました。

