天皇皇后両陛下のタイご訪問
1.天皇皇后両陛下は、6月8日から同15日までの間、シンガポール、マレーシア及びタイをご訪問されました。
今回のご訪問は、御即位後2度目15年振りの東南アジアご訪問でしたが、ASEANの中ではこれまで公式にご訪問されていなかったシンガポールを外交関係樹立40周年の節目にご訪問され、マレーシアでは15年前に予定されていたご訪問がおできにならなかったペラ州ご訪問を実現されました。
タイにおいては、世界25ヶ国の王族の方々と共に、プミポン国王陛下御即位60年慶祝行事に参加されました。今回の両陛下のタイ国ご訪問の特色などを以下の通りまとめてみました。
(1)今回の御訪問の意義
今回の天皇皇后両陛下のタイ国ご訪問は、天皇陛下御即位後の両陛下の公式外国ご訪問としては1991年のご訪問に次ぐ第2回目のものであり、また、当国の国王陛下御即位60年祝賀行事ご参列という、類似の前例がない目的のご訪問でした。
(2)日タイ両国の皇室王室関係の更なる緊密化
両陛下は、この度のプミポン国王陛下御即位60年祝賀行事に際し、御祝意を直接同国王陛下にお伝えになりました。これに対し、同国王陛下及びタイの王室の方々は深い感謝と喜びの気持ちを示されました。
両陛下は、今回の当国ご訪問中、タイの王室より格別の歓迎を受けられました。例えば、 6月12日の王室御船パレードや「国王陛下と開発展」のご鑑賞に際しては、タイ国王王妃両陛下が両陛下のお側で説明されるなど細やかなご配慮を示されました。更に、14日の両陛下のアユタヤご訪問に際しては、シリントン王女殿下が同行され、また、タイ王室より御昼食の場として王妃陛下の離宮であるシリヤライ離宮が提供されました。
以上のタイ王室のご配慮に対し両陛下も深い感謝の意をお示しになり、これらのことが両国の皇室と王室の伝統的に親密な絆を更に強化したものと思われます。
(3)タイ国民の歓迎
タイ国民が深く敬愛するプミポン国王陛下御即位60年祝賀行事の機会に、天皇皇后両陛下がタイをご来訪されて、祝賀の意を表され、また、タイ国民の喜びを共有されたことは、多くのタイ国民に心から歓迎されました。
更に、両陛下は、タイで最も古い歴史を有するチュラロンコン大学、及び永くタイの首都であったアユタヤをご訪問されました。これらの訪問先では、多数の学生や市民が暑い日中にも拘わらずすすんで沿道に立ち、両国の国旗を振り、両陛下に対する心からの歓迎の気持ちを表していました。
当地紙の多くは、ご訪問期間中しばしば両陛下のお写真を一面トップに大きく掲げて報道し、また、テレビやラジオにおいても両陛下についての報道に多くの時間を割いていました。そうした報道の中で、1964年に天皇陛下が(皇太子殿下として)当国を公式訪問された後に、プミポン国王陛下に寄贈された50匹のテラピアが、その後国王陛下の手により増殖され、タイ全土に配布されて、現在ではプラー・ニンと呼ばれて当国で最も一般的な食用の淡水魚となっていることも、改めて報道されました。
また、当地で最大の発行部数のタイ語新聞である「タイ・ラット紙」は、読者等を対象とした調査を基に、今次行事に参加した26ヶ国の外国王族・皇族のうち、「最も感銘を与え、最も洗練されていた」のは天皇皇后両陛下であったと報じています。
2.天皇皇后両陛下のタイご訪問中の各行事の模様は次の通りです。
6月11日
(1)バンコクご到着
午後1時45分、両陛下は、政府専用機でドンムアン空軍基地にご到着になり、ワチラロンコン皇太子殿下同妃両殿下、スラキアット副首相等のお出迎えをお受けになりました。
(2)御宿舎ご到着
両陛下が御宿舎に到着された際、ホテルのロビーで、約300名の日本人学校児童が日の丸の小旗を振って奉迎しました。
6月12日
(1)在留邦人代表拝謁
午前10時、両陛下は、御宿舎内にて、約130名の在留邦人の拝謁に臨まれました。在留邦人は、タイ国日本人会、盤谷日本人商工会議所、泰日協会学校(バンコク日本人学校)、各政府機関、国際機関、NGOのグループに分かれて、両陛下に拝謁しました。
(2)国王陛下即位60年慶祝儀式
午後2時過ぎ、両陛下は、プミポン国王陛下御即位60年慶祝儀式の会場であるアナンタ・サマーコム・ホールへお着きになり、タクシン首相夫妻の出迎えをお受けになり、二階ロイヤル・ラウンジへお進みになりました。
両陛下は、ロイヤル・ラウンジでプミポン国王・シリキット王妃両陛下のお出迎えをお受けになり、列席のタイの各王族とご挨拶された後、各国王族の方々と、親しく言葉をお交わしになりました。
次いで両陛下は、タイ国王王妃両陛下及び各国王族とともに、慶祝儀式会場へお進みになり、記念撮影に臨まれました。その後、タクシン首相がプミポン国王陛下に対する慶祝の辞を述べ、国王賛歌が演奏されました。続いてプミポン国王陛下が答辞を述べられ、勝利の歌(マハーチャイ・アンテム)が演奏されました。
その後両陛下は、タクシン首相夫妻の見送りをお受けになり、アナンタ・サマーコム・ホールを御出発されました。

(写真提供:タイ政府広報局)
(3)王室御船パレード御鑑賞
両陛下は、午後5時半頃、王室御船パレード御鑑賞の会場である海軍会館にお着きになりました。同会館のロイヤル・ラウンジでタイ国王王妃両陛下の間に座られた両陛下は、古式ゆかしい舟歌と漕ぎ手のかけ声がチャオプラヤー川の水面に響き渡る中、52艘の御船が総勢約2,000名の漕手により、整然と隊列を組んで海軍会館前を通り過ぎるのをご覧になりました。
(4)「国王陛下と開発展」開会式典
午後7時頃両陛下は、海軍会議場へお着きになりました。開会式典では、先ずタクシン首相が、「国王陛下と開発展」開会の辞を述べ、次いで、会場内スクリーンにプミポン国王陛下の業績を称える「国王陛下と開発」に関する映像が映し出されました。
その後、両陛下は、各国王族とともに、プミポン国王陛下による国民の生活向上のための業績を表したスクリーン映像等の展示をご覧になりました。両陛下が海軍会議場を出発される際には、チャオプラヤー川の水面を1万個のクラトン(灯籠)が美しく照らし、また、満月の夜空に何百もの熱気球が浮かび、更に、プミポン国王陛下の色である黄色のシャツを身にまっとた多数の市民が沿道を埋め尽くしました。
6月13日
(1)チュラロンコン大学関連行事
チュラロンコン大学では、校門から講堂レセプション・ホールまで、両国の国旗を手にした数百名の学生達が立ち並び、両陛下の車列に、笑顔で小旗を打ち振りました。チュラロンコーン大学講堂レセプション・ホールで、両陛下は大学理事長から、日本に縁の深い大学関係者、学生の代表等18名のご紹介を受けられ、次いで、大学の各学部長等34名のご挨拶をお受けになられた後、ご記帳と記念撮影にお臨みになり、その後出席者と親しくご懇談になりました。

(写真提供:チュラロンコン大学)
(2)小林大使主催レセプション(タイの日本関係者招待)
両陛下は、レセプション会場で、我が国叙勲者、元駐日大使、泰日協会及び泰日経済技術振興協会関係者、元日本留学生等、日タイ関係の促進に功績のあったタイの方々約60名と、和やかな雰囲気の中、親しくご懇談になりました。
その後、両陛下は隣室にて、秋篠宮殿下を中心とする日本側研究者とチュラロンコン大学はじめタイ側研究者による野禽の家禽化に関する共同研究についての展示をご覧になりました。
(3)国王陛下主催晩餐会
両陛下は、午後8時過ぎ、晩餐会会場であるグランド・パレス・チャックリー・ホールへお着きになりました。両陛下は、中央ホール入り口にて、ワチラロンコン皇太子殿下、シリントン王女殿下のご挨拶を受けられ、中央ホール奥にてタイ国王王妃両陛下にご挨拶された後、噴水の間にお進みになり、各国王族とご懇談になりました。次いで両陛下は、タイ国王王妃両陛下、各国王族とともに、晩餐会会場へお進みになり、晩餐会では、臨席の各国の王族の方々と親しくご歓談になりました。お食事の終了にあたり、プミポン国王陛下より、今次慶祝行事への各国王族の出席を謝し、各国王族が初めてタイに集うこの機会は各国間及び王族間の友好関係の促進に重要な機会である、各国王族の健勝と各国と国民の繁栄を祈念する旨のお言葉を述べられ、勝利の歌(マハーチャイ・アンテム)演奏の後、乾杯がなされました。次いで各国王族を代表してブルネイ国王陛下が、タイ国王王妃両陛下とタイ国民に対する祝意及びプミポン国王の、変遷する時代の中で常に叡智をもって国民とともにあり、国民にタイという国に誇りを抱かせた偉業に対する敬意を表し、同国王とタイ国民の幸福と繁栄を祈念するとのお言葉を述べられ、国王賛歌の演奏の後、祝福の乾杯が行われました。
その後両陛下は、タイ国王王妃両陛下及び各国王族とともに噴水の間へお進みになり、各国王族と親しく歓談されました。その後両陛下は、タイ国王王妃両陛下へお別れの御挨拶をされた後、ワチラロンコン皇太子殿下、シリントン王女殿下の御見送りを受け、グランド・パレスをお発ちになりました。
6月14日
(1)アユタヤ歴史研究センター御視察
両陛下は、午前10時頃、シリントン王女殿下、クン・プロイパイリン(ウボンラット王女令嬢)及びクン・シリキティヤー(同)と共に御宿舎よりアユタヤへと向かわれました。アユタヤ市郊外に入ると、沿道には日タイ両国旗、タイ国王旗を手にした人々が途切れることなく並んで、両陛下のアユタヤ御訪問を歓迎しました。
アユタヤ歴史研究センター入口では、学校の児童、学生、アユタヤ市民、日系企業で働く在留邦人等多くの人々が立錐の余地もなく集まりました。両陛下とシリントン王女殿下一行のご到着時には大きな歓声が上がり、数十名のタイ人幼稚園児が、練習した日本語で「ようこそアユタヤへ」と声をそろえて歓迎しました。
両陛下は、展示室入り口で、アユタヤの地図をご覧になりつつ、タイ側説明者よりアユタヤの概略につきご説明を受けられ、次いで、当時の王宮、野生象の生け捕り用の柵やアユタヤに寄港したジャンク船等の模型、14世紀以降の各時代のアユタヤと日本、琉球を含む世界各地との貿易経路、交易の産品、各国との外交関係に関する資料、王室の儀式用の道具、当時の生活の様子の展示等をご覧になり、シリントン王女殿下も交えて活発に質問をされました。
(2)アユタヤ王宮遺跡御視察
両陛下はシリントン王女殿下とともに、奉迎のアユタヤ市民が立ちならぶマハータート寺院跡にお着きになり、菩提樹の幹に取り込まれた仏像頭部の前、また遺跡全体が見渡せる場所でタイ側説明者よりご説明をお受けになり、その後、現在は歴史公園として整備されている遺跡内をご散策になりました。
(3)アユタヤ関係者等との昼食会
両陛下は、シリヤライ離宮で、シリントン王女殿下はじめタイ側同行者等と共に同離宮の美しい庭園やチャオプラヤー川対岸にあるチャイ・ワッタナラム寺院遺跡の眺望をお楽しみになりながら昼食をおとりになりました。
6月15日
両陛下は、ドンムアン空軍基地でシリントン王女殿下のお見送りをお受けになりつつ、午前10時過ぎ、ご帰国の途につかれました。

