日タイ国交樹立記念日に際しての梨田大使からのメッセージ

令和5年9月26日

日タイ関係の新たな展望:共創のパートナーとして

梨田和也大使

136年前の今日、日本とタイは国交を樹立しました。長く親密な関係を有する日タイ関係は、幅広い分野で発展してきました。先日、セター首相とも会談し、「包括的戦略的パートナーシップ関係」にある両国関係を更に発展させるべく、日本の官民あげてオールジャパン(Team Japan)で、セター首相率いるタイの新政府と緊密に連携していきたい旨をお伝えしました。

 

現在タイに進出してビジネスを展開している日系企業は約6,000社です。過去40年間の日本からタイへの累積投資額は約3.5兆バーツで、これは同期間の対タイ直接投資額の40%を占め、国別投資額で第1位です。自動車産業を始めとして、日本企業はタイ人とともにタイの経済発展に大きく貢献してきました。現在では、日本の大企業、中小企業のみならず、最先端の技術を有する日本のスタートアップ企業もタイへの進出に高い関心を有しています。

 

また、タイの国際的な玄関口であるスワンナプーム国際空港、バンコク都民の足であるブルーライン、パープルライン、レッドラインといった鉄道、チャオプラヤ川のプラ・ピンクラオ橋やラマ9世橋などは、いずれも日本の経済協力で建設されました。経済協力の分野でも、日本はタイにとって第1位の協力国です。(累積額250億ドル)

 

これからの日タイ関係は、一緒に新しいものを創造していく共創のパートナーです。これまでに培った様々な分野での協力関係を土台として、様々なものを創り出していくことを期待しています。例えば、グリーン・インダストリー、AI技術を活用した農業、EVなどの分野です。また、高度産業人材の育成も重要です。2019年にタイ高専プロジェクトがスタートし、既に学生たちが数々のコンテストで優秀な成績を収めています。来年いよいよ第一期生が卒業します。また、観光の分野では、両国の観光客の往来はコロナ前の水準に戻りつつあります。日本の地方を旅行されるタイの観光客も増えており、日本博、Japan Expo、日本留学フェア、訪日旅行フェアなど、様々な交流イベントを通じて、特に、若い世代での交流が一層活発になることを期待します。

 

本年は、日本とASEANの友好協力50周年の節目の年です。これまで、日本とASEANが築き上げてきた、幅広い協力と緊密なパートナーシップを背景に、本年9月、日ASEAN関係を「日ASEAN包括的戦略的パートナーシップ」に格上げしました。双方の関係を具体的に発展させるため、ASEANの経済発展と連結性における協力をさらに積み重ねていく考えです。本年12月には東京で、特別首脳会議の開催が予定されています。この会議では、日本とASEANが、新たな時代を牽引し、インド太平洋、さらには世界の持続可能で繁栄した未来を共に創っていく信頼できるパートナーであることを世界に広く発信していきたいと考えています。セター首相とも協力しながら、日ASEAN関係を一層発展させていきたいと思います。

日タイ修好136周年