プレスリリース
日本の高等専門学校型教育導入のためのタイ王国に対する有償資金協力に関する書簡の交換
1. 3月30日、タイ王国の首都バンコクにおいて、我が方梨田和也駐タイ日本国特命全権大使と先方ウッタマ・サーワナヨン・財務大臣(H.E. Mr. UTTAMA Savanayana, Minister of Finance of the Kingdom of Thailand)との間で94億3,400万円の有償資金協力「産業人材育成計画」に関する交換公文の署名が行われました。(*なお、現下のCOVID-19の感染拡大の状況に鑑みて、持ち回り署名といたしました。)
2. タイの製造業は2016年度の国内総生産(GDP)の28.1%、総輸出額の88.7%を占めるなど、タイの経済成長をけん引する重要産業である一方、近年はタイ国内の賃金の上昇に伴い製造業を含む労働集約的な産業は近隣国や南アジアへのシフトが見られ、経済成長の伸び悩みが見られております。このような状況を踏まえ、タイ政府は、2016年に長期開発ビジョンとして「タイランド4.0」を打ち出し、従来の労働集約型産業から次世代自動車やスマート・エレクトロニクス等の知識集約型産業への転換を図り、電子化、自動化、電動化などの先進技術を活かした生産性向上とイノベーションの進展により中進国の罠の回避を目指しています。しかし、タイ国内の既存教育システムでは上記のような専門性を備えた実践的なエンジニアを育成できていない状況でした。
3. タイ政府は、日本の高等専門学校型教育をタイに導入することを決定し、それを受けて2019年5月には、タイにおける第1校目の高専であるモンクット王工科大学ラカバン校付属高等専門学校が開校しました。本計画は、日本からタイ高専への教師派遣やタイから日本の高専への留学等を通じて、タイに日本と同水準の高専教育を提供することにより、タイランド4.0の実現に貢献できるレベルの産業人材の育成を図るものです。そのことから、質の高い成長の実現に寄与するものとして、タイの経済政策上極めて優先度の高い事業として位置付けられております。
4. 本協力では、タイのバンコクにおいて、2校の高専を設立・運営し、日本の高専と同水準の高専教育を提供し、また日本高専への留学機会も提供します。また、事業終了2年後(2034年)には約1,100名の卒業生を輩出することにより、実践的でイノベーティブなエンジニアの育成を図り、もってタイの持続的な経済発展に寄与することが期待されます。
【供与条件】
ア 金利:0.5%
(ただし、コンサルティングサービスに係る部分は0.01%)
イ 償還期間:30年(10年の据置期間を含む。)
ウ 調達条件:アンタイド
お問い合わせ先
在タイ日本国大使館 経済部 春日
Tel: 02-207-8577 / 02-696-3000(代表) Fax: 02-207-8517