津波被害復興支援 - 我が国からの緊急支援(緊急援助隊の派遣/緊急物資の供与)
国際緊急援助隊の派遣
(1) 自衛隊による救援活動
艦載ヘリを含む自衛隊艦艇3隻(護衛艦「きりしま」、護衛艦「たかなみ」、補給艦「はまな」)をプーケット沖へ派遣。57名の遺体(国籍不明)を収容した他、我が国緊急援助チームの輸送を実施しました。
(2) 国際緊急援助隊捜索・救助チーム
第1陣(消防、警察、海保、外務省、JICAより49名)
パンガ-県、タクアパー郡及びクラビー県ピピ島で捜索・救助活動を実施しました。
第2陣(消防ヘリチーム、32名)
ヘリ2機による捜索救援及び輸送活動を実施しました。
(3) 国際緊急援助隊・医療チーム(医師4名、看護師7名、外務省員2名等22名)
パンガ-県タクアパー郡にて診療所を開設するとともに、移動チームによる周辺住民への診療活動を実施しました。
(4) 国際緊急援助隊・専門家チーム(鑑識・鑑定の専門家、警察等より7名)
DNA検体採取・鑑定の専門家(警察等より4名)
クラビー県で各国関係者とともに身元確認作業を実施しました。
鑑識の専門家(警察等より3名)
クラビー県においてDNA専門家等とともに身元確認作業に参加しました。
(5) 国際緊急援助隊・専門家チーム
(捜索技術・救援活動のための専門家、消防庁等より7名)
現地において、タイ内務省での研修講師等、関係機関に対する助言、指導活動を実施するとともに、海軍主催で現地関係者及び一般市民に対する津波対策に関する講演を実施しました。
緊急援助物資の供与
我が国より、緊急援助物資としてテント、毛布、浄水器、発電機、医療品など約1000万円相当の供与を決定し、現地で引き渡しを行いました。
インドネシアへの緊急援助物資運搬の支援
上記支援の他、我が国からインドネシアの復興支援のため、自衛隊国際緊急援助空輸支援隊がタイ・ウタパオ海軍基地に2機のC-130Hを展開し、支援物資242トン、人員413名を空輸しました。
草の根・人間の安全保障無償資金協力
(1)「津波被害者への総合的支援計画」(ワールドビジョン・タイランド)
津波の被害を受けた南部4県(ラノーン県、パンガー県、プーケット県、クラビー県)の被災者に対して行う生活環境整備や物資供与等の総合的支援プロジェクトです。(供与額は約24万ドル)
注:詳細は平成16年度草の根・人間の安全保障無償資金協力を参照
(2)「津波被害者へのリハビリテーション支援計画」(ラックス・タイ財団)
津波被災地のパンガー県クラブリー郡とタクアパー郡にある2カ所の漁村に、被災者のために総合的支援を行えるケアセンターを開設しました。スタッフが常駐しカウンセリングを実施する他、復興のための住民とのミーティングやセミナーなどを行います。(供与額は約17万ドル)
注:詳細は平成16年度草の根・人間の安全保障無償資金協力を参照
(3)「パンガー県津波被害漁村復興計画」(供与先:ワイルド・ライフ財団)
津波で甚大な被害を受けたパンガー県の漁村のうち、ナムケム村とヤーオ島の漁民約190世帯に、エビ網、カニ網、魚網(浮かせ網)、イカを採る罠などの漁具をワイルド・ライフを通して支援します。(供与額は約5万ドル)
注:詳細は平成17年度草の根・人間の安全保障無償資金協力を参照
(4)「津波被災者のためのさをり織り研修センター建設計画」(供与先:マーヤ・ゴータミ財団)
津波により仕事を失い収入のあてがない被災者を対象に、さをり織りを教え、出来上がった織物を商品に加工し販売を行います。より多くの被災者にさをり織りの技術研修を行うため、パンガー県タクアパー郡に研修センターを建設します。(供与額は約9万ドル)
注:詳細は平成17年度草の根・人間の安全保障無償資金協力を参照
世界銀行・日本社会開発基金を通じた支援
2005年1月、日本政府は世界銀行(World Bank)に設けられた日本社会開発基金(Japan Social Development Fund)を2000万ドル増額し、スマトラ沖地震による津波被害からの復興支援に充てることを決定しました。これを受けてタイでは以下の3つの案件が実施されています。
(1) タイ南部地域での被災コミュニティーへの緊急支援
津波で被害を被った地域コミュニティーに対し、NGO(Population and Community Development Association、Chumchon Foundation、Local Development Institute)を通じて、被害回復に必要な支援を行います。(予算:200万ドル)
(2) タイ南部地域での被災弱者のための復興支援
津波被災者のうち、特に支援が必要な移民労働者、少数民族、障害者、高齢者、遺児、貧困生活者などに対して、NGO(World Vision Foundation Thailand)を通じて、生活のための収入手段を回復するための支援や被災による精神的苦痛を治癒するための支援を行います。(予算:100万ドル)
(3) 恵まれない被災者への法的扶助
津波被災者のうち、貧困などのため十分な支援を受けられない人々に対し、NGO(Low Society of Thailand他)を通じて、生活再建に必要な法的扶助(戸籍や相続権の確認、公的扶助の申請)が受けられるよう支援を行います。(予算:185万ドル)
復興のための研修等
(1) 環インド洋津波早期警戒メカニズム構築に向けた地域別研修
タイを含む環インド洋の各国の津波警報システム担当のキーパーソンを日本に招聘し、津波早期警戒メカニズム構築に向けた地域別研修を実施しました。本研修では、我が国が地震・津波の予警報システムの分野で培ってきた経験・知見を共有し、各国担当者が環インド洋津波早期警報システム構築に資する基本的な知識を習得できることを目的としました。
(2) 災害復興経験ワークショップ
バンコクにおいてチュラロンコン大学との共催による災害復興経験ワークショップを開催しました。本ワークショップで社会復興に向けた長期的な視野に立った支援活動が適切に行われるために、日本より大学教授、地方自治体関係者を招聘し、阪神大震災、奥尻島の津波災害をはじめとする日本の復興経験を発表し、タイの被災者、政府関係者、NGO、ドナー等と共有しました。